NPO法人 緑とくらしの学校

「怪我の無いように、今日は一日楽しみましょう」
学校行事等で繰り返される常套句に、私はいつも違和感を覚えます。
 
「怪我をしないこと」ってそんなに大切なこと?
 
 
昭和5年生まれの妹尾河童さんという方の少年時代をえがいた、
「少年H」という本があります。
こういう風に、生き生きとした体験をしてきた人たちが、
戦後の日本の成長を支えてきたのだなあと、とても興味深い小説です。
 
この中でも、私にとって一番感慨深かったのが、海に遊びに行く話。
小学校高学年の彼らは、仲間のお父さんの船を借り、海で遊んでいるのですが、
だんだん沖へと流されていき、危うく遭難しそうになります。
そして、ギリギリのところで、船の持ち主である、仲間のお父さんに助け出されるのですが、
そのお父さんは、なんと、子どもたちを抱きしめ、
「お前ら、こんなことで海を嫌いになるな」と諭すのです。
 
昔の大人は、ほんと、覚悟が出来ていたのだなと驚かされました。
 
私たち、現代の大人が、海で遭難しかかった子どもたちに、こんなことを言えるでしょうか。
まず、子どもたちだけで海に行くことさえ、許さないのが普通だと思います。
 
でも、何かを得ようと思えば、リスクが伴うのは当たり前のこと。
海は危険だけど、怖がって海を避けていれば、何も得ることが出来ない。
 
私たち親は、子どもに何かを得させたいのなら、覚悟をもつ必要があると思います。
 
怪我をするかもしれないし、もしかしたら死んでしまうかもしれない。
でも、それは、大切なものを得るためには、避けられないリスクであり、
「怪我をしない」ためだけに、子どもを縛るのはもったいない。
私はそう考えています。
 
幼稚園や学校などでは、責任問題を恐れて思い切った教育ができないのが現状だと思います。
子どもたちにまともな体験をさせるためには、
まず、私たち親が、覚悟を持たなければならないのだと思います。
 
親でさえ、「覚悟」が持てない、こんな現代の状況の中で、
「子どもを預かる」方の立場でありながら、
子どもたちにまともな体験をさせようと、頑張ってくれている人たちが、
素晴らしい教育をしてくれている人たちが、
地元上越に居ます。
 
もっともっと、たくさんの人に知ってもらいたい。

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